住宅は、楽しくなくてはなりません。そのために、施主も設計者も明るく健康で生活をおくることが大切です。家楽する心には木田智滋のそんな想いが込められています。

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Kokoro 18

個性の住宅

▼梯剛之というピアニストがいます。▼彼は子供の時から盲目でありますが、それを自分のもつ個性の一つだといい、むしろその分、音の感性が高く素晴らしい演奏をしてくれます。▼以前に手足に障害のもつ方の住宅を設計した時、大変勉強になったことがあります。▼洗面器の水栓金具を選んだ際に、止水が軽く出来るものが使い良いと水栓レバーの長い物を提案したところ、その方は長い水栓レバーだと手が震え、水量調整ができず、勢いよく湯水が出ることがあり使いにくく、むしろ従来の、手でクルクル回す水栓金具で、手を固定して操作するほうが使い易いとのことでした。▼これは、その方の持たれる個性の一つであり、対応した設計が大切だと痛感しました。▼考えれば、住宅設計は、背の高い人もいれば、体の大きな方もいるように、建主にはそれぞれの個性があり、対応することではないでしょうか。▼広く言えば、家族の人数、住まい方などそれぞれ家族にも個性があり、対応した設計があるのではないでしょうか。▼それこそ一軒一軒つくられる個性の住宅だと思います。

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