住宅は、楽しくなくてはなりません。そのために、施主も設計者も明るく健康で生活をおくることが大切です。家楽する心には木田智滋のそんな想いが込められています。

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Kokoro 15

障 子

▼日本の家の特徴として、障子があります。▼この障子を私は、和室だけでなく、フローリングの部屋にも使うことがあります。▼理由は、障子からもれる柔らかな光と、しっとりとした空間感覚があるからです。▼障子によって、昼は太陽の強い日差しが拡散され室内全体が柔らかい明るさとなり、夜は紙の自然素材と幾何学の組子がシンプルな陰影を見せ、障子と光の加減で室内が全く別の表情に変わります。▼この面白さがインテリア空間の愉しさを作り出すのではないかと思います。▼また障子は、カーテンやブラインドに比べ隙間がない分部屋の保温性に優れ、紙の持つ調湿効果で結露を和らげ、特に寒い冬には部屋の環境をコントロールしてくれる高い働きをもつものでもあります。▼毎年暮れに障子を張り替えるのですが、張り替えた後に部屋がぱっと明るくなり、なんとも云えぬ清々しさを感じ、夏に簾戸を入れ替えたときのように、部屋のしつらえが暮らしの変化を与えてくれるものとなっています。▼何も和室に用いるだけの障子ではなく、素晴らしい働きを知り、日本の伝統的な建具を新しいかたちで使ってみてはいかがでしょうか。

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