▼徒然草の一節に「家のつくりようは夏をむねとすべし。冬は如何なる所にも住まる。」というくだりがあります。▼これは、冷暖房がない時代に、冬ならば如何様にでも住むことが出来るが、暑さは、どうすることも出来ないので家の造り方は夏のことを考えて造るのがよいと言っているのでしょう。▼思えば日本家屋は夏の暑さに対する工夫をなされてきたものがいろいろあります。▼ひとつに、簾戸(スド)という建具があります。▼普段、襖や障子で仕切られた部屋を、通風を良くして少しでも涼しくすごせるよう工夫された葦(ヨシ)を使った建具です。▼また、夜具として使われる蚊帳(カヤ)もひとつだと思います。▼夏にいくら通風良くしたところで、蚊や虫に悩まされて眠れなければ何にもなりません。▼我家ではそれらを夏になると使っておりますが、実用もさるところながら、部屋のしつらいが夏の季節感を感じさせ、暮らしの楽しみを与えてくれるものとなっています。